認知行動療法は、認知、つまり情報処理のプロセスや行動面に働きかけて問題解決できるように手助けする構造化された精神療法です。元々は、うつ病や不安障害に対する精神療法として発展してきましたが、その後、他の様々な精神疾患の治療法としても、その効果が実証されてきています。自殺者の多くが精神障害を有していることからも、認知行動療法に用いられるアプローチは自殺対策の一環としても活用が可能と考えられます。
本研修会では、保健や医療、福祉、教育で自殺対策に取り組んでいる方々のために、
一方で、定型的(高強度)認知行動療法を実施できるようになるためには、専門的なトレーニングを受けながら実践を重ねる必要がありますが、トレーニングの機会が極めて少ないのが現状です。そうしたことから、近年は、定型的認知行動療法の基本的なアプローチを踏まえかつ効果が期待できる簡易型(低強度)認知行動療法が行われるようになってきています。これは、教育資材やITを利用したり、集団を活用したりすることで効果を維持しながらマンパワーの必要性を極力抑えるアプローチについての現状についてもご紹介したいと思います。
【参考図書】大野・田中:保健、医療、福祉、教育にいかす簡易的認知行動療法実践マニュアル、きずな出版、2017
主な対象者 | 職種を問わずご関心のある方 |
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日 時 | 2017年9月22日(金)15:00~17:00 |
会 場 | つくば国際会議場 中会議室201(茨城県つくば市竹園2-20-3) |
参加費 | 会員5,000円 非会員7,000円 学生3,000円 定員:100名 |
専門職の多くは、自殺問題や自殺予防について専門的な教育を受ける機会が少なく、専門職の多くが、自殺の危機にある方への対応について、その知識・技量の不足を自覚し、困難感を感じていることが知られています。本研修会は、複雑事例や深刻事例に対応する際の基本事項とその段取りを習得することを目的として開催されます。研修方法は、自殺のリスクを抱える事例について、10 Essentialsという教育モジュールを用いながら、問題点の抽出から問題解決アプローチまでを専門家のガイドによるワークショップ形式で検討していきます。
主な対象者 | 自殺の危機介入へ対応される全職種 |
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日 時 | 2017年9月22日(金)15:00~17:00 |
会 場 | つくば国際会議場 中会議室201(茨城県つくば市竹園2-20-3) |
参加費 | 会員5,000円 非会員7,000円 学生3,000円 定員:50名 |
学会認定研修会参加申込みについて
E-mail: info@jasp.gr.jp Fax: 03-3812-0376
問い合わせ・申込み先 日本自殺予防学会事務局
〒113-0033
東京都文京区本郷2-17-13(有)エム・シー・ミューズ内
学会認定研修会担当 tel.03-3812-0383
日本医師会認定産業医をすでにお持ちの先生方が対象になります。
今回の研修会では、ストレスチェック制度を中心に、認定産業医資格更新の際に必須となっている更新1単位と専門1単位を取得できます。奮ってご参加ください。
参加費 | 日本自殺予防医学会会員1,000 円 ・ 非会員4,000 円 |
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参加申し込みは、本大会への事前申し込みと同時に行います。
「参加者へのご案内ページ|事前申し込みについて」の項にあります、リンクより登録できます。
研修会の日程、内容は以下の通りです。
産業医研修会 | 平成29年9月22日(金)19:00~21:00 中会議室201 |
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テーマ | 「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について」 |
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演者 | 平井 康仁(筑波大学 医学医療系) 座長:村井 正(宇宙航空研究開発機構/JAXA 有人宇宙ミッション部門) |
生涯研修更新 | 1単位 |
2010年、当時厚生労働大臣であった長妻昭氏が「うつ病の症状を健康診断の時にチェックできないか検討を進めていく」と発言したことに始まり、その後の様々の議論を経て、2014年6月に現在のストレスチェック制度が「労働安全衛生法の一部を改正する法律」によって法制化された。 ストレスチェック制度は既に多くの企業で実施されており、産業医が実施者として関わる機会も非常に多い。 本研修会では、ストレスチェックを実施する際に使用される機会が多い職業性ストレス簡易調査票について、その特徴や活用方法などについて振り返りたい。またあわせて、過重労働対策としてのストレスチェックの活用法などについても検討していきたい。 |
テーマ | 「職場におけるメンタルヘルス事例検討」 |
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演者 | 平井 康仁(筑波大学 医学医療系) 大井 雄一(筑波大学 医学医療系) 道喜 将太郎(筑波大学 医学医療系) |
専門研修 | 1単位 |
参加費 | 日本自殺予防医学会会員1,000 円 ・ 非会員4,000 円 |
前時間の座学の内容をふまえ、さらに事例検討を行い、知識を深めていく。 |
いのちの電話相談員研修会 | 平成29年9月22日(金)17:30~19:00 中会議室201 |
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高橋祥友(筑波大学 医学医療系 災害・地域精神医学) | |
本研修会は、いのちの電話相談員の皆さんを対象として企画したものです。ぜひ多くの方々が奮って参加してくださることを望みます。 2006年にわが国で自殺対策基本法が成立し、自殺予防は社会全体の課題であると宣言されました。その後、各地でさまざまな活動が展開されてきました。しかし、そのはるか前からいのちの電話が地道な活動を続けてきたことを、私はこの目で見てきました。私が医学部を卒業して、今年で38年になりますが、当時は、「自殺は個人の問題だ」「気の毒だけれども、自ら命を絶つ人もいる」といった風潮がごく普通でした。私は精神科医になり、自殺予防に関心を持ちましたが、周囲の精神科医療従事者でさえ、自殺予防についてそれほど強い関心を抱いていなかったというのが実状でした。そんな中で、いのちの電話の相談員の皆さんに会い、危機状態にある人に対してボランティアで相談に乗る姿に接して、私はとても勇気づけられる思いがしました。 今から三十数年前というと、自殺予防に対する社会の関心があまりにも低くて、自殺予防学会単独では開催することができず、いのちの電話の全国研修会と共同開催して、ようやく細々と続けてくることができたというのが、本学会の歴史です。このような歴史を振り返ると、自殺予防学会はいのちの電話の相談員の皆さんが中心であるべきだというのが私の持説であり、その思いから本研修会を企画しました。 私の精神科医としての経験をもとに自殺予防の基礎知識について解説し、相談員の皆さんと意見交換をするのを楽しみにしています。自殺の危険因子、対応の原則、転移と逆転移、相談員抱える全能感と不全感、燃え尽き症候群の予防法などを取り上げたいと思います。けっして一方向的な講義にするつもりはありません。むしろ相談員の皆さんとの意見交換を楽しみにしています。相談員の皆さんが積極的に参加してくださることを望みます。 |